[1月の課題]
〜阪神淡路大震災から30年〜
2025年1月17日で、阪神淡路大震災から丁度30年になる。私の日記から当
時を忍んでみよう。
出勤の準備をするためふとんから抜け出そうとしていた矢先に、グラグラッと大き
く部屋が揺れた。「地震や!」とふとんをはねのけ、家族に連絡。家は今にも倒れん
ばかりに大きく横揺れし、四〇秒ぐらい続いたであろうか。私はふとんの上で座った
まま動けずにいたが、倒れた時の住宅ローンのことが一瞬脳裏をかすめた。
外はまだ真っ暗であった。枕元に置いてあるラジオを入れるとNHKはすぐに午前
五時四六分に淡路島を震源地とする震度六の大地震が神戸を襲ったことを伝えた。そ
して、神戸のマンションに住むアナウンサーが自宅からレポートしていた。家財は散
乱しているがマンションは無事であること、外を見ると数か所から火の手は上がって
いるが、そんなに被害はない模様との第一報であった。しかし空が明るくなるにつれ
て、阪神間の被害がどんどん大きく報道されるようになった。阪神高速道路が六百m
にわたって落下したり、鉄道、電気、ガス、水道のライフラインがストップ、建物が
倒壊したり、火災が発生して多数の死傷者が出ていることが続々報じられた。
(中略)
その後南海電車が止まっているというニュースはないので駅へ行く。改札口は通勤
客でごった返していたが、取りあえずホームに下りて停止している電車に乗った。小
一時間待ったが、「線路点検中」の車内放送があるだけで動かない。途中で大きな余
震があって車体は大きく揺れた。いつもの携帯ラジオをイヤホンで聞いていると、夜
が明けて明るくなってから、どんどん被害の大きさが報道されている。あきらめて家
に帰った。
午前八時過ぎに会社へ電話を入れると、K君が到着していたので、本日の研修は中
止の旨を伝える。一方、Wさん宅の葬儀への弔電を打つため、通信が規制されていな
い実家の電話で電話局へ架電するもつながらない。そのうちに通話規制で自宅の電話
も発信できなくなった。家内に狭山電話局へ走ってもらったが、閉鎖中で、車で大停
滞している中をやっと泉北郵便局へたどり着いたが、回線が混んでいて、ファックス
電報に切り替えられていて、時刻に間に合うかどうかわからないと言う。電話・電報
も麻痺しているのだ。
昼を過ぎても電車は動きそうにないので、家内の運転で会社へ向かう。市内に入る
と道路は大停滞を起こしていた。阪神高速道路は通行できないので、その下をひやひ
やしながらもとろとろ進み、三時間かかってやっとの思いで到着した。阪神間を除い
て既に電車は動いていたので、七割がたの人が出社していた。出社後は、まだ連絡が
取れていない所員の家へ電話をかけまくり、安否や被害状況を確認する。電話のつな
がらない神戸の二人を除いて全員の無事を確認する。
午後五時四〇分ごろ、待っていてくれた家内の車に乗り、帰途、大阪市内にある家
内の実家へ立ち寄り、一人住まいの母親を連れて家に帰った時は八時半を回っていた
。
「兵庫県南部地震」と命名されたこの地震により、「阪神・淡路大震災」は死者五
千五百人を越え、家屋の倒壊などにより、学校等への避難住民は三〇万人を越えた。
世界各地、全国各地からボランティアや義援金品が集まり、マスコミの話題は阪神大
震災一色であった。政府・自治体の対応の速さ、まずさが非難されたが、震災復旧が
最優先され、野党も攻撃を控え、社会党を中心とした新党結成、政党再編の動きも封
じられた。
復旧へ向けてライフラインでは、いち早く電気、続いて水道が、そして四月初めに
はJRが開通した。都市ガスは、全国から日本ガス協会の復旧隊三千七百人が応援に
駆けつけ、大阪ガス六千人を合わせて九千七百人が復旧作業を行い、供給を停止した
八六万戸のうち、供給可能な七二万戸を四月一一日までに供給再開し、完了宣言を行
った。阪神、阪急電車の完全復旧は七〜八月に、阪神高速道路は三年間かかる見通し
である。
今日五月一日時点でも、避難住民は五万人で、仮設住宅はまだまだ不足している。
復興へ向けて動き出してはいるが、これから先、防災対策、地域再開発、建物関係(
借地、借家、敷地境界、マンション建替え)等々の難問が山積みしている。しかし今
、瓦礫の山と化した阪神・淡路に復興の槌音が響いている。新しく生まれ変わる日も
そう遠くないことを祈りたい。
[1995/1/17(火)] [1995/5/1(月)]
それでは、例によって上記の中から出題します。
■2025年1月(No.162)
題:「無事」 (進 選)
題:「落下」 (由希子 選)
題:「ふとん」 (禮子 選)
題:「グラグラ」 (昌彦 選)
(各題2句出し)
◎今月の締切:1月24日(金) 正午必着
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